A-Lab Exhibition Vol.17
「街と、その不確かな壁」と...。
2019年2月16日(土)-2019年3月31日(日)
 
開館時間=(平日)11:00-19:00、(土・日・祝)=10:00-18:00
休館日=火曜日
入場料=無料
主催=尼崎市
協力=ベイ・コミュニケーションズ、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス (HAPS)
 
 

   A-Labでは、Exhibition vol17は川田知志、迎英里子による2人展『「街と、その不確かな壁」と…。』を開催します。

  川田知志は、これまで、漆喰に顔料で描くフレスコ画の技術を応用し、既設の壁面や自作の仮設壁面などに展開する作品を制作してきました。最近は建物を構成する壁から派生し、別の支持体へ壁面を移動させることで、壁が持っていた記憶をトレースする作品を発表しています。

  一方、迎は国債の発行や石油採掘、屠畜、核分裂反応、火山など、世界の様々な制度やシステムの仕組みを、日用品などを使って模式化した装置を作り、それを自ら“動かす”パフォーマンスを行ってきました。そのシステムの持つ複雑さを見える形、手で扱える形に置き換えて提示してきました。

  今回のタイトルの「街と、その不確かな壁」は 1980年に雑誌「文學界」に発表された村上春樹さんの小説です。村上さんの作品の中では、発表後、単行本に収録されて出版されることがなかった数少ない作品です。小説では、壁の中と外の関係、僕と影、ことば、古い夢などをモチーフにしながら物語が展開されており、2人の作品に通じる側面が伺えます。本展では、2人にこの小説と向き合うことも含め、作品にアプローチしてもらいました。

 今回、川田は市内のすでに元の用途として使われていない「履物屋」「小学校」「結婚式場」で数日ずつ滞在制作し、空間に漂う記憶などをなぞった作品をA-Labで再構成します。  迎は生活の中にある身近な社会の構造を自身の言葉で解釈し、装置を制作し、自らの身体を使って動かします。  川田は壁面という、“輪郭”や“外側”をモチーフに、迎は仕組みという、“中心”や“内側”をモチーフにしています。2人の作品は一見して正反対な感じがしますが、見えないけど、そこに確かにある存在感というものにアプローチしているという視点では通じるものがあります。

   何かを守る存在にも、別け隔てて邪魔する存在にもなる「壁」が作り出す空間の記憶。運用の仕方で、善にも悪にもその表情を変える「システム」や「制度」の仕組み。本展では、2人の作品を通じて、普段は意識をしていない“存在”を感じていただけるのではないでしょうか。


 

【ゲストプロフィール】

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川田 知志|Satoshi Kawata
1987年大阪府生まれ
京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油絵)修了
 
—主な展覧会—
「Open Room」(ARTCOURTGALLERY/大阪/2018)
「VOCA2018」(上野の森美術館/東京/2018)
「織り目の在りかin一宮」(一宮市役所庁舎内/愛知/2018)
アーティストインレジデンスプログラム「まちとsynergism」
成果展(アートラボあいち長者町/名古屋/2017)
「Artists in FAS 2016」(藤沢市アートスペース/2016)
「1floor2015対岸に落とし穴」(神戸アートビレッジセンター/2015)
「ハイパートニック・エイジ」(京都芸術センター/2015)
 
—主な受賞—
六甲ミーツ・アート芸術散歩2016公募大賞 グランプリ
 
 

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迎 英里子|Eriko Mukai
1990年兵庫県生まれ
京都市立芸術大学大学院美術研究課彫刻専攻修了
 
—主な展覧会—
「HAIR OPEN STUDIOS」(Gallery August/ヘルシンキ/2018)
「コンパスのコンパス」(MEDIA SHOP|galley/京都/2018)
OPEN SITE 2017-2018「不純物と免疫」(TOKAS本郷/東京/2017)
「新しいルーブ・ゴールドバーグ・マシーン」(KAYOKOYUKI・駒込倉庫/東京/2016)
「対馬アートファンタジア2016」(長崎県対馬市内各所/2016)
「アプローチ2(石油)」(Gallery PARC/京都/2016)
「approach1(original)approach1(archive)」(Alainistheonlyone/東京/2015)
 

 
関連イベント
■パフォーマンス
迎英里子による、本展覧会で制作したシステムを”動かす”パフォーマンスを開催します。
平成31年2月16日㈯ 13時30分〜 / 16時〜
平成31年2月24日㈰ 11時〜
 
■トーク
キュレーターとして活躍する服部浩之さんと出展作家のアーティストトークを開催します。
平成31年2月24日㈰ 14時〜15時30分
先着30名、申し込み不要

 

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服部浩之(キュレーター)
1978年愛知県生まれ。
 
建築を学んだ経験とアーティスト・イン・レジデンス機関でのキュレーターとしての実践を軸に、アートスペースの運営やディレクション、展覧会やプロジェクトの企画・設計などに従事する。近年の主な企画に「Media/Art Kitchen ~Reality Distortion Field」(ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコク、青森|2013~2014年[共同])、あいちトリエンナーレ2016(愛知県美術館ほか、愛知|2016年[共同])、「近くへの遠回り」(ウィフレド・ラム現代美術センター、ハバナ|2018年[共同])。現在は秋田公立美術大学大学院准教授、アートラボあいちディレクターとして秋田と愛知を拠点とする。第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館キュレーター。