次回展

プレスリリースはこちら
A-LAB Exhibition Vol.40
「まちのことづて」
アーティストがまちをリサーチし、作品を作り上げる展覧会「まちのことづて」。
ものや人、場所とのふれあいを独自の表現につなげる3者に思いを託し、尼崎のまちを歩いていただきました。
石場は、眼でふれるようにものをみて、手で確かめながらもののあり方や見方を再提示する。田中はその場面その光景にふれ、与えられた体感をもとに描く。葭村は、目につきにくいかつ目の前にあるわけではなく消えてなくなりそうな部分を丁寧に掬うかのようにふれながら確かめる。
それぞれのふれ方で読み解いたまちを、そして、それぞれが刺激しあう展示をお楽しみください。
会期=2023年10月7日(土)-2023年11月19日(日)
開館時間=(平日)11:00-19:00、(土日祝)10:00-18:00
休館日=火曜日
入場料=無料
主催=尼崎市
[関連イベント]
・トークイベント
A-LABアドバイザーの原久子氏が聞き手となり、3人が尼崎で出会ったものや制作経過を紹介。9月4日(月)から申込開始。定員先着20人。
日時: 10月9日(月/祝) 午後2時〜3時30分
場所: A-LAB
申込先: amalove.a.lab@gmail.com
(イベント名、氏名、年齢、電話番号を明記ください。)
・田中秀介と歩く尼崎
ボートレース尼崎や商店街など、描かれた場所を作者の田中秀介と巡り歩きます。9月4日(月)から申込開始。定員先着10人。
日時: 11月4日(土) 午前10時30分 ボートレース尼崎集合(4時間程度)
申込先: amalove.a.lab@gmail.com
(イベント名、氏名、年齢、電話番号を明記ください。)
*ボートレース尼崎入場料(100円や昼食などは各自のご負担になりますのでご了承ください。)
【出展作家プロフィール】*作品画像は参考画像です。

石場 文子 Ayako Ishiba
1991年 兵庫県生まれ。
2014年 京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野卒業。
2016年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科修了。
【制作ステートメント】
道端に落ちている何かを見てドキッとした経験はないでしょうか。そして、それが手袋だとわかった瞬間、私は安堵します。落ちている何かも手袋も存在は変わらない、同じものなのに、私の認識の違い一つで世界の見え方は大きく異なります。人は一体何をもってモノをモノとして見ているのか。違う見方を提示したい、私自身を含め、鑑賞者の見ている世界、視野を広げたい。誰かがこうだと決め付けたことに対し、私は作品を通して笑ってやるのです。
【受賞歴】
2019 VOCA 展 2019 奨励賞
2022 名古屋文化振興事業団第38 回芸術創造賞
【主な個展】
2023 「視点の位置」、 Miaki Gallery、 東京
2022 「Shuttle Run 2022」、 ARTDYNE、 東京
2021 「不在 (ない) と存在 (ある)」、 3331 Arts Chiyoda、 東京
2021 「2 と3 のあいだ」KG+ 企画、夷川サローネ、京都
2020 「zip_ 記号と静物」、Gallery PARC、京都
2019 「次元のあいだ」、児玉画廊、東京
【主なグループ展】
2023 「Ballet meets Art vol.2」、KATSUYA SUSUKI Gallery
2021 「Real by Art Sticker」、代官山ヒルサイドフォーラム、東京
2021 「惑星-PLANETS-」、日本橋三越本店、東京
2022 「感性の遊び場」、 ANB Tokyo、 東京
2021 「現れの形象」、 ARTDYNE、 東京
2019 ignore your perspective 52 「思考のリアル/Speculation ⇄ Real」、児玉画廊、東京
2019 さっぽろアートステージ 2019 ART STREET 美術展 「まなざしのスキップ」、 札幌文化芸術交流センター SCARTS、 北海道
2019 「LUMIX MEETS BEYOND2020 BY JAPANESEPHOTOGRAPHERS #7」、 IMA Gallery 東京 /Unseen Amsterdam の一環としてアムステルダム/PhotoSaint Germain の一環としてパリ
2019 「IMA×Edition “STYLED IN PHOTOGRAPHY” vol.1 「写真を着る、言葉を纏う~フォトグラファーと言葉によるT シャツコラボレーション~」、 IMA gallery、東京
2019 「あいちトリエンナーレ 2019 情の時代」、 愛知県美術館、 愛知
2019 「VOCA 展2019 現代美術の展望- 新しい平面の作家たち-」、 上野の森美術館、 東京
2018 「Pop-up Dimension 次元が壊れて漂う物体」、Kodama Gallery、東京
2018 「メソッドの考察」、愛知県立芸術大学学食2 次元、愛知
2018 「不透明なメディウムが透明になる時」、電気文化会館、愛知
2018 「立てる」、Masayoshi Suzuki Gallery、愛知
2018 「写真的曖昧」、金沢アートグミ、石川

| まど_2023amagasaki | (映像作品) 2023

田中 秀介 Shusuke Tanaka
1986年 和歌山県生まれ。
2009年 大阪芸術大学美術学科油画コース卒業。
【制作ステートメント】
寝て、起きて動きだす。動き出すと見渡す。見渡し、それは自発的か偶発的かやがてそこの何かと対峙する。対峙すると、そこに在るあらゆる物事が合致した状況が、光景として一挙に私の眼前に立ち現れる。それはあまりに複雑に入り組んでいるものの、あからさまに一つとして立ち現れ、そしていつしか更新され、同じ光景を目の当たりにする事はない。このとりとめのない、しかし歴然とした、常に更新される光景を、どうにか腑に落とそうとしている。これらを腑に落とす術として、光景の解釈に取り掛かる。この解釈への取り組みが私にとって描く事となる。何を指し示すかわからない光景は、描く事で何かを指し示す光景へと解釈され、絵となる。
【受賞歴】
2018 「清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ」 準大賞
2016 トーキョーワンダーウォール賞
2009 第24 回 ホルベイン・スカラシップ 奨学生 認定
2009 「Art Camp 2009」サントリー賞
【主な個展】
2023 「烏合のふるまい」、 LEESAYA、東京
2022 「田中秀介展 絵をくぐる大阪市立自然史博物館」、大阪市立自然史博物館、大阪
2022 「すべ と しるべ(再) 2021-2022 #02 先見の形骸団子 」、Gallery PARC、京都
2022 「辿る粉々の粉」、LEESAYA、東京
2021 「馴れ初め丁場 Beginning of love」、Gallery PARC 企画 オーエヤマ・アートサイト、京都
2020 「かなたの先日ふみこんで今日」、和歌山県立近代美術館企画 ぎゃらりーなかがわ、京都
2019 「随所、ただいまのかち合わせ。」、2kwgallery、滋賀
2018 「清須市はるひ絵画トリエンナーレ アーティストシリーズ Vol.87 田中秀介展 ~ カウンター
ライフ~」、清須市はるひ美術館、愛知
2017 「ふて寝に晴天、平常の炸裂。」、Gallery PARC、京都
2016 ALLNIGHT HAPS 人と絵の間「 こないだのここからあそこ」、HAPS、京都
2016 TWS-Emerging 2016 「円転の節」、トーキョーワンダーサイト渋谷、東京
2015 「私はここにいて、あなたは何処かにいます。」、Gallery PARC、京都
【主なグループ展】
2023 「VOCA 展2023 現代美術の展望- 新しい平面の作家たち-」、上野の森美術館、東京
2021 「もうひとつの世界」、和歌山県立近代美術館、和歌山
2021 「停滞フィールド2020→2021」 、トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京
2021 「絵画の見かた reprise」、√K Contemporary、東京
2020 「なつやすみの美術館 10 : あまたの先日ひしめいて今日」、 和歌山県立近代美術館、和歌山
2020 「停滞フィールド」、トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京
2019 「忘れようとしても思い出せない」、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、滋賀
2018 「アーカイブをアーカイブする」、みずのき美術館、京都
2017 「アンキャッチャブル・ストーリー」、瑞雲庵、京都

| 先見売りの面子 | 2023

葭村 太一 Taichi Yoshimura
1986年 兵庫県生まれ。
2009年 大阪芸術大学デザイン学科 卒業。
【制作ステートメント】
人間の意識、痕跡や記憶、それらを想起させるような彫刻作品を制作する。サンプリングという技法を用いて制作することが多いが、抜き出された見本はすでに無くなった物事も多い。それらを復元するように作られた彫刻は、物体としては曖昧で不自然なものが現れる。彫刻を軸に、作品に応じてその他メディアを組み合わせながら、過去と現代の接続を試みる。
【受賞歴】
2021 「のせでんアートライン2021」 最優秀賞
2019 「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019」 公募大賞 準グランプリ
【助成】
2022 アーツサポート関西 一般助成
【主な個展】
2022 「34°40’ 33” N 135°29’ 55” E」、 Marco Gallery、大阪
2021 「Imitation or mimic」、千鳥文化ホール、大阪
2020 「REACTION」、VOU、京都
【主なグループ展】
2023 「公園 - 記憶の合流地点」、Marco Gallery、大阪
2023 「study : 大阪関西国際芸術祭2023」、グランフロント大阪 うめきた広場サブスペース、大阪
2022 「奈良・町家の芸術祭 はならぁと2022」、天理市、奈良
2022 「学園前アートフェスタ2022」、学園前、奈良
2022 「オルタナティブ・ロマン」、旧住友吉左衛門茶臼山本邸土蔵、大阪
2022 「プリミティブ・コミュニケーション」、TENSHADAI、京都
2022 「gray area」、Marco Gallery、大阪
2022 「あまがさきアート・ストロール~ Produced By 六甲ミーツ・アート芸術散歩~」、尼崎えびす神社、兵庫
2022 「STAND BY」、Marco Gallery , CANDYBAR Gallery、大阪・京都(同時開催)
2021 「のせでんアートライン2021」、豊能町、大阪
2021 「下町芸術祭2021」、神戸市長田区、兵庫
2019 「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019」、六甲山、兵庫
2016 「空想MUSEUM 2016」、成安造形大学、滋賀
【アートフェア】
2023 「Frieze Seoul 2023」、COEX Convention & Exhibition Center、ソウル
2023 「ART OSAKA 2023 Expanded」、kagoo、大阪
2022 「3331 ART FAIR 2022」、3331 Arts Chiyoda、東京
2022 「ART TAIPEI 2022」、Taipei World Trade Center、台湾
2021 「ART TAIPEI」、Taipei World Trade Center、台湾

| 34°43’ 10” N 135°24’ 47” E | 2022
本展に向けたアーティストコメント
石場 文子
尼崎を散策しようと思った時に、私はふと尼崎の形が気になり尼崎市の縁をなぞるように散策を開始しました。最初は尼崎らしさを探していたのですが、川辺や海沿いの工場などの違いはあれど散策して見えた風景は他の市街と大きく変わりませんでした。
何度か散策して私が目を向けるようになったのはどこにでもある道路の標識や電柱やかべに貼ってあるステッカーです。全国どこにでもある同じ標識も太陽の当たり方で色褪せたり、住む人・通る人の車や自転車のタイヤなどで少しずつ薄れていく、削られていく。似た風景や同じ標識のものはあっても全く同じものはないんだよなーと思いながらひたすら歩き、次第にその削られた痕跡も標識やステッカー同様、その街に人がいる証明のように感じて少し愛おしく感じました。
人がいる痕跡を追及していけば、私が想定していたものとは別の見方ができるかもしれない。街中にありふれていても普段は注視しないものに焦点を当て、尼崎市という街や人々を見つめます。
田中 秀介
コーヒー缶を50cmほど先に置き、その全体を視界に入れる。入った時点で疑いも無く全体を把握したと思い込んでいたが、缶に対して焦点が合っている部分はほんの僅かであった。その焦点の合う部分を繋げ、1つの缶として認識している事に気がついた。迂闊であった。缶一つ、ろくに知らない。とか、こんな事をうねうね考えているところに本展のお誘いをいただいた。
当初の企画内容は、かいつまむと「水」と「みち」と言う題目が与えられ、それに沿ってリサーチを行い、作品を発表するというものであったが、途中企画を遂行するさなか曲折があり、結果作家各々が尼崎をリサーチし、作品を発表するという形に落ち着いた。今振り返るとこの在ったものが突如無くなるとか、変態して行く突拍子もない事態の経験は、尼崎を作品とする時、その礎の一部となっている。
リサーチとは何か、尼崎とは何か。私は尼崎を知らない。朧げな尼崎に対してのイメージはあるが、それが事実かもわからない。地図を広げれば尼崎は堂々と示されてはいるが、何をもって尼崎なのかもわからない。私はとにかく尼崎を体感するために現地に繰り出し、ほっつき歩いた。割と無闇矢鱈にほっつき歩いた。出合う光景として、普段見慣れたいわゆる街を示す光景が殆どを占めるが、時たまどの様に解釈して良いのかわからない光景と出合う。私はそれを尼崎に対して焦点が合った部分とした。それらを描き、集め、私の尼崎を示したいと思う。
本展の作品によって私の尼崎が誰かの尼崎に連結され、各々の尼崎が拡張される事を願う。同じく私も誰かの尼崎を取込み、より顕著なものとしていきたい。
葭村 太一
尼崎の街や公園で多くの看板が目についた。「なぜこんなところに?」と思うような、看板として機能していないものや、見過ごされそうな存在がどうしても気になった。看板は近隣の苦情などをきっかけに設置しているものが多いと聞いた。それは秩序を乱す者、保つ者とのある種の掛け合いであり、そんな街の綻びに興味が湧いてきた。看板にはかわいいイラストが描かれているものが多くあり、どこか懐かしさを感じた。私は普段、街に残された何者かの” 落書き” をモチーフに、木彫作品を制作している。
スピード感を持って描かれたスプレーの落書きや、街の人が設置したであろう色褪せた手描きの看板。尼崎に残された痕跡、それらを立体化させ新たに生まれる木彫には、不自然な造形、いわゆるエラーが起きるだろう。平面に描かれたものを強引に立ち上げることにより、思わぬ構造が見え隠れする。ゆるく軽やかな平面が立体化し、見たことあるけど、やっぱり見たことない、が目の前に出現する。
偶然にも尼崎を探索している最中、とある神社の敷地内で楠木の丸太が転がっているのを見つけた。宮司さんに今回の展覧会の話をすると快く丸太を譲ってくれた。これも何かの縁だろうか、この楠木で作品を作ることにした。