【次回展】
A-LAB Exhibition Vol.45
「家具と抽出し」 - Furniture and Drawer -
「足りないもの」や「見えていないもの」など、ふだんは意識しにくい物事やそのあり方をミニマルな立体造形を通して考察してきた二人のアーティスト、松井沙都子と松延総司による展覧会「家具と抽出し」を開催します。二人の作品は展示する空間自体も重要な表現の要素となることから、この企画では、出品作家の松井沙都子がゲストキュレーターとして全体のテーマを練り上げ、コラボレーターの松延総司とともに各展示室の構成を行います。
日常生活に空気のように存在している「家具」をモチーフとすることで、私たちがアートを見る目をずらしていくこの試みは、アートを鑑賞するという行為自体への問いかけも含んでいます。本展を通してアートへの様々な想像を巡らせ、多くの疑問や発見に出会っていただければ幸いです。
会期=2024年10月19日(土)-2024年12月15日(日)
開館時間=10:00-18:00
休館日=火曜日
入場料=無料
主催=尼崎市
開館時間=10:00-18:00
休館日=火曜日
入場料=無料
主催=尼崎市
【出展作家】
松井沙都子、松延総司
【関連イベント】
トークイベント
「家具と抽象とアートのお話」
ゲストに沢山遼さんをお招きして、出品作家との対談を行います。要申込。定員先着20人。
イベント名、氏名、電話番号、参加人数を明記の上、amalove.a.lab@gmail.comまでお申込みください。
沢山 遼 Ryo Sawayama
美術批評家・武蔵野美術大学美学美術史研究室准教授。
著書に『絵画の力学』(書肆侃侃房、2020年)。共著に、国立新美術館(編)『今、絵画について考える』(水声社、2023年)など。1982年生まれ。
<問い合わせ先>
A-LAB TEL:06-7163-7108
(火曜日休館、10:00 - 18:00)
家具と抽出し
本展はいわゆる家具の展覧会ではない。展示作品は、もしかすると実際の家具に似ているかもしれないが、その性質や存在の意味は大きく異なる。
私と松延さんの作品は、「欠如」や「地」といった捉えどころのない概念を背景に持つ。一方で両者の作品には、形状や材質、構造といった目に見える要素において、共に「家具」的であるという側面を持つ。他者と共有しづらい概念について、より多くの方に想像を巡らせていただくきっかけとなるよう、本展では「家具」をテーマにすることにした。つまり本展に展示されるのは、実際の家具のようでありながら、家具そのものとは言い切れない、美術作品である。
ちなみに展覧会タイトルの「家具」に続く「抽出し」という言葉は、松延さんが提案してくれたもので、美術批評家の沢山遼さんによる「“抽象” と“抽出し” には関連性がある」との話が参照されている。対象からエッセンスを抽出するという意味を持つ「抽象」には、その語の示す通り「抽出し」からものを取り出す所作に通じているためではないかと、私は考えている。馴染み深い「家具」の距離感で作品に接しつつ、美術の本質ともいえる「抽象」の面白さに、少しでも触れていただけるような機会となれば幸いである。
松井沙都子(本展ゲストキュレーター/出品作家)
【出展作家プロフィール】*作品画像は参考画像です。
松井 沙都子 Satoko Matsui
1981年 兵庫県生まれ。現在、京都市を拠点に活動
2006年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了
2017年 博士(美術)(京都市立芸術大学)
「足りなさ」という観点から、〈欠如〉を孕む作品を制作している。本展では「現代の日本の家」をモチーフとするインスタレーション作品のほか、「足りなさ」をひとまとまりの構造物に落とし込む「Frames」シリーズを出品する。
【主な個展】
2013年 TWS-Emerging 206 「Blind Place」、トーキョーワンダーサイト本郷、東京
2015年「ブランクの住空間」、Gallery PARC、京都
2018年「モデルハウス」、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都
2018年「抽象住宅- ワンルーム-」、ギャラリー恵風、京都
2019年「ホーム・スイート・ホーム」、MEDIA SHOP gallery 2、京都 他多数
【主なグループ展】
2013年「kyoto studio」、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都
2014年「はならぁと こあ」ならきたまちエリア「在り処をみる」、工場跡、奈良
2016年「TEMPEL/MATERIAL」、大徳寺黄梅院、京都
2021年 セイアンアーツアテンション14 「Re:Home」、成安造形大学【キャンパスが美術館】、滋賀
2022年「連続するプロジェクト/インスタレーションを所有する」、BnA Alter Museum 、京都
2023年「zu Hause 自宅と承認」、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO) ギャラリーC、兵庫
2023年「ミニマル美術」、KUNST ARZT、京都
2023年「outside and the inside 7-眺めのままに」、Ogallery eyes、大阪 他多数
松井 沙都子 | Signage #1 | Courtesy of ACK 2022 展示風景 | 撮影:Yuki Moriya | 2022
松井沙都子 | ふつうの家(家族の書架)Ordinary home (family bookshelf) | 2023
松延 総司 Matsunobe Soshi
1988年 熊本県生まれ。現在、滋賀県を拠点に活動。
2008年 京都嵯峨芸術大学短期大学部 ( 現 : 嵯峨美術短期大学 ) 卒業
2023年 ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修
「線」「影」「無意識」「地」など捉えどころのない事物を主題とし、それらがどのように人々に知覚され、存在しているのか、その法則や特性を抽出/再構築するような作品を制作している。
【主な個展】
2019年「See the Shades」、HAGIWARA PROJECTS、東京
2020年「ねじれたネイチャー」、大見新村、京都
2021年「Ghost of Copy」、The Container、東京
2023年「雪のうえにのびる道」、札幌文化芸術交流センターSCARTS、北海道 *アレクサンドル・カトーとの共同制作 他多数
【主なグループ展】
2021年「Soft Territory かかわりのあわい」、滋賀県立美術館、滋賀
2021年「Ende Neu」、KINDL-Zentrum fürzeitgenössische Kunst、ベルリン・ドイツ
2022年「石と植物」、滋賀県立美術館、滋賀
2024年「VOCA 展2024 現代美術の展望」、上野の森美術館、東京
2024年「not a house」、MBL Architectes、パリ 他多数
【受賞】
2020年 2019年度 平和堂財団芸術奨励賞(美術部門)
松延総司 | Pattern of Dark #1, #2 (Light and Shade) | 2019
松延総司 | Shelf #1 | 撮影:Hideaki Toyoura | 2013